間質性肺炎
高分解CTと呼ばれる、ヒトの肺を1から2mmの非常に薄い断面で撮影する方法が確立されてから診断されるかたが非常に増えております。無症状で偶然他疾患の検査の際に判明するかた、軽度の症状があり検診レントゲンでも異常を指摘されていらっしゃる方、他の病気に併発するために紹介いただく方が多いです。
聴診でファイン・クラックル(fine crackles)と呼ばれる特徴的な音が診断の契機になることもあります。
時間的な進行の有無、病気の肺全体への広がりを俯瞰するにはレントゲンが最適です。ただし、少なくとも間質性肺炎を疑った場合には初回診察時には胸部の高分解CTをおすすめします。画像の特徴から間質性肺炎のうち最も多く原因が明らかでない特発性(とくはつせい)か膠原病や血管炎などの病気に続発する2次性かの大まかな方向性を考えます。つづいて膠原病で特徴的なお体の症状がないか、血液検査で自己抗体やANCAと呼ばれる膠原病などに特徴的な血液の反応がないか確認します。
間質性肺炎肺炎はあるものの、膠原病が症状の主体の場合には膠原病専門医に紹介をします。
最も頻度が高く原因の明らかでない特発性の場合、進行性の場合には内服の抗線維化薬をご提案します。
現在本邦で使用できる2種類の抗線維化薬のいずれもが食欲低下や下痢などの消化器症状をきたすことが多いですので、体調に合わせて徐々に内服量を増やしたり、胃腸の働きを整えるお薬を一緒に使いながら治療を行います。
間質性肺炎の患者さんは痩せている方が多い(呼吸で消費するエネルギーが多いにも関わらずもともと食欲がない、食事をすると腹部が圧迫されて苦しくなるのでご飯が食べられない)のですが、抗線維化薬で残念ながらやせが進んでしまった場合にはお薬を減量したり、他剤へ変更します。
また、低酸素血症に注意しながら足腰が弱らないように積極的に運動やリハビリテーションを進めます。
必要であれば運動時のみ在宅酸素療法を行い、低酸素を避けながら運動します。更に介護保険を積極的に取得していただき、ケアマネジャーと相談して訪問リハビリ、通所リハビリを積極的に行うことで苦しいから歩かない→歩かないから歩けなくなる、といった悪循環から抜け出せる様にいたします。
院長の竹内は間質性肺炎の急性増悪で急性期病棟に入院された方、回復され安定期で外来診療へ移行された方、糖尿病、骨粗鬆症、日和見感染症などステロイド長期投与による併存症を残念ながら来した方まで幅広い診療経験があります。間質性肺炎を懸念される方、お困りの方は遠慮なくご相談下さい。